皆様、土地家屋調査士という国家資格をご存じでしょうか?
土地家屋調査士とは、不動産の登記簿(登記記録)の「表題部」の新設、変更・更正、閉鎖等の代理申請を行う土地建物の表示登記、土地の境界に関する専門家です。
今回は現実には存在しているものの登記簿がない建物、いわゆる「未登記建物」についてよくある質問を、Q&A形式でお届けします。
Q1 数十年間未登記になっていて、確認申請書や図面がない場合でも登記出来ますか?
A1 登記できます。依頼されれば土地家屋調査士が現地を調査・測量し、各階平面図、建物図面を作成します。
建物が建って最初に行う登記を建物表題登記といいます。人間で言えば出生届のようなものです。
Q2 未登記建物を相続しましたが、誰の名義で登記されますか?
A2 最終的な相続人名義でも登記出来ます。その場合、被相続人がその未登記建物を取得した事が分かる書類、及び相続人が相続したことが分かる書類(戸籍等) が必要です。
法定相続人が数人いる場合で、その内の一人だけが相続する場合は、その他に遺産分割協議書もしくは遺言書などが必要です。
Q3 既に賃貸している物件や既に住んでいる場合でも登記出来ますか?
A3 登記出来ます。現地調査が必要ですので、現在の住人にお願いして現地の調査・測量を行います。賃貸しようとしている建物が未登記建物だったということで、建物表題登記を行う事も時折あります。
Q4 建築確認をとっていない等の違法な建物は登記出来ますか?もしくはしなくてもよいですか?
A4 登記出来ます。不動産登記法では現況主義をとっていますので、違法建築でも建物と認められるものであれば登記しなければなりません。
Q5 銀行融資もないし、登記代行費用や税金がかかるので登記しなくもいいですか?
A5 そもそも建物表題登記は、新築した人もしくは取得した人が、新築した日もしくは取得した日から1ヶ月以内にしなければならないという規定(義務)となっています。
Q6 数十年前の未登記建物で、元々だれが建てたか分からないが、現在自分が固定資産税を納付している建物を自分名義で登記するにはどうしたらよいですか?
A6 建物表題登記は現在の所有者の名義で申請ができますので、過去に遡って一旦被相続人名義で登記して、その後相続による所有権移転登記をする必要はありません。しかし、書類上は最初に誰が取得して、その後誰に相続した、誰に譲ったなどの所有権の流れが分かる一連の書類が必要です。よって固定資産税を払っている事実だけでは建物表題登記は出来ません。まずは最初に取得した人を調べて、必要があれば先述Q2のように他の相続人と協力して遺産分割協議書を作成しなければならないかもしれません。