平成27年の不動産登記令等の改正に伴い、不動産登記申請手続きの当事者が会社(法人)である場合は、会社法人等番号(12桁の番号)を登記申請の際に法務局へ提出すると、会社(法人)の登記事項証明書(登記簿謄本)の添付を省略することができようになりました。
そして、今回の改正法(本年4月1日施行)により、会社(法人)の印鑑証明書の提出も不要とすることができるようになりました。
これにより、不動産登記を日常業務とする不動産会社や金融機関等においては、経費削減と事務作業の軽減が期待できますが、登記の種類や状況によって、法令上は提出不要であっても、実際には印鑑証明書が必要となるケースが予想されます。
例えば、不動産売買に伴う所有権移転登記の際には、通常、売買代金の決済現場にて、司法書士が委任状に押印された会社印の印影と印鑑証明書の印影を照合するため、印鑑証明書の提示が必要となります。
その際、印鑑証明書の原本またはコピーのどちらの提示が必要となるか、発行期限は何ヶ月以内のものであるかについては、決済現場での司法書士の判断によることになります。
また、登記事項証明書や印鑑証明書の提出を省略せずに、従来通り3ヶ月以内の原本を法務局へ提出して登記申請をすることもできますので、登記手続き書類の準備段階での打ち合わせに、十分な注意が必要です。
続いて、本年4月7日発出された緊急事態宣言による登記業務への影響について、宣言該当地域の法務局においては、新型コロナ感染症対策として、法務局職員の通勤抑制が始まりました。
これにより、私が住む福岡においては、福岡本局、西新出張所、福間出張所、粕屋出張所等の管轄不動産の表題及び権利登記の完了までに1ヶ月~2ヶ月が必要となる予定です。
(各管轄の登記完了予定日は、対象となる法務局ホームページにてご確認ください。)
上記法務局に限らず、今後の感染拡大の状況や緊急事態宣言の如何によっては、登記完了予定日の大幅な変更が生じる可能性がありますので、不動産の売買等を行う場合は、新築物件の表題登記、土地の分筆登記等の表題部に関する登記や相続による所有権移転登記等、代金決済日または融資実行日までに完了しなければならない登記の完了予定日を十分チェックしながら、早めの対策を講じることが求められます。