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空家に係る譲渡所得の特別控除の特例

2019.08.10

相続登記と被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例

不動産や車といった物を売却して利益が出ると、譲渡所得税というものが課税されます。

ただし、収益物件を売却して利益が出た場合と、マイホームを売却して利益が出た場合とで、課税の仕方が同じというのはおかしいので、譲渡所得税には数々の特例があります。

その特例の一つに、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(以下「空き家控除」といいます。)という制度があります。
その詳細は、国税庁のホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm)をご覧下さい。

この特例をうけるための要件の1つに、「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること」というのがあります。

最近、この要件が論点となった案件がございましたので、お話させて頂きます。
(話を簡略化するため、その他の要件は満たしているものとします。)
 

例えば、
亡き父 A(平成25年6月30日死亡)
亡き母 B(平成29年6月30日死亡)
AとBの長男 C
AとBの次男 D
亡き父A所有の甲土地・乙建物
という事例で見ていきましょう。

 

甲土地・乙建物の相続登記を、時系列通りに行うと、
亡き父A → 亡き母B → C(持分2分の1)とD(持分2分の1)
となります。

しかし、CとDは、亡き母Bの相続人としての地位で、亡きAの遺産分割協議に参加することが可能ですので、

亡き父A → C(持分2分の1)とD(持分2分の1)という相続登記も可能です。

相続登記を行う場合、固定資産評価額に0.4%の登録免許税が必要となりますので、登録免許税の面だけを考えると、後者の方が得になります(前者は、2回分必要となりますので)。


しかしながら、冒頭お話した「空き家控除」の適用という面については、前者では適用が可能であったのに、後者では不可となります。

その他の税制や今後の売却の有無等様々な面から考慮する必要があり一概には言えませんが、当職が担当した案件に関しては、売却予定である事から、税理士等も交えて協議した上で、後者で登記をすることになりました。

 たかが相続登記、されど相続登記。登記手続きという一面だけで考えると、思わぬ損をすることもございますので、税理士等の各種専門職も交えながら、今後の財産の処分方法等もしっかり考慮して、登記することが大事でしょう。

筆者紹介

西出 光徳
司法書士・行政書士・土地家屋調査士 ふくおか法務局前オフィス 代表
福岡県司法書士会、福岡県行政書士会、福岡県土地家屋調査士会
司法書士、行政書士、土地家屋調査士、宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者、少額短期保険及び損害保険募集人資格

一言に相続といっても、信託、車や不動産の名義変更、遺言、遺産分割における分筆登記、未登記建物の表題登記等々多岐にわたります。
弊社は、代表自身が司法書士、行政書士、土地家屋調査士であり、また、不動産仲介(売買・賃貸)の経験から、全体を見通した提案を出来る事が最大の強みです。
例えば、これは実際にあった話ですが、相続人2名の方から、「親父の土地を半分に切って、それぞれ相続登記をして下さい。」と依頼されました。しかし、物件調査を行うと、土地を半分に切ることによって、都市計画法上の最低敷地面積を下回ってしまい、建物が建たない二束三文の土地になるところでした。このような場合でも、登記自体は通ってしまうところが怖いところなのです。弊社は、そのような事にならないよう、安心・安全な法的サービスを提供するよう努めております。
何から相談したらよいの分からない、どこに相談したらよいのか分からない、そんなときこそ弊社にお気軽にご相談下さい。笑顔で元気よく、迅速にご対応させて頂きます。

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