「表示に関する登記」について、
1.登記をする義務が有るのか?
2.誰が申請するのか?
について前回お話させて頂きました。
1.については、「有り」
2.については、登記によって、「共有者全員」から、又は、「共有者の一人」から。
では、以下のような場合、どうなるのでしょうか?
被相続人 A
Aの妻 B
被相続人A所有の土地 甲土地
事例で見ていきましょう。
Aが亡くなった為、甲土地の名義をBにする(相続登記)。
この手続中に、被相続人A所有の甲土地上に、全く知らない第三者であるC名義の乙建物の登記が見つかった。
この場合、この乙建物が実際に存在していない場合、「建物滅失登記」をすることになりますが、
前回のお話から、
1.登記をする義務が有るのか? → 「有り」
2.誰が申請するのか? → C(又はその相続人の一人)
となりますね。
しかし、Bは、Cを全く知らない訳ですから、Bとしてはお手上げになります。
どうしましょう?
結論から申しますと、この場合、土地所有者Bからの「建物滅失申出」という制度があります。
つまり、「乙建物は存在しないけど、C(又はその相続人)とコンタクトが取れないから、建物滅失登記を申請して貰えません。法務局でどうにかして下さい」と、登記官の職権発動を促す制度です。
建物滅失申出を行うと、登記官が現地を実地調査し、問題無いと判断すれば、建物の登記が閉鎖されます。
ただ、登記は、本来、申請人自らが申請する制度ですので、
①建物が存在しない事
②C(又はその相続人)とどうしてもコンタクトが取れない事
を土地家屋調査士が綿密な調査の上、報告書に記載して、登記官に報告する必要があります。
建物滅失申出は、土地家屋調査士もしっかり調査する必要がありますし、登記官も実地調査を行う為、通常の登記の審査機関よりも長くなりますので、注意が必要です。
このような建物の登記を発見したら、放置せず、早め早めのお手続きが良いでしょう。