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相続法改正~自筆証書遺言は益々トラブルの元に!?

2018.12.10

 改正相続法の施行時期が目前に迫っています。
その第1弾となりそうなのが、年明け早々の1月13日から施行される「自筆証書遺言の方式緩和」です。

 遺言者が、遺言で特定の財産を特定の相続人に承継させたい場合などは、財産が特定できる事項を記載しなければなりません。

 不動産であれば所在地・地目・地番・地積など、預貯金であれば金融機関名・支店名・口座番号などで、本文とは別に「財産目録」として別紙で添付されることもあります。
 自筆証書遺言の場合、この「財産目録」についても自書が要件となっているため、遺言者が高齢の場合や財産内容が複雑な場合などは作成の負担が特に大きくなり、遺言書の利用を妨げる要因になると指摘されていました。

そこで今回の改正です。

平成31年1月13日以降に作成する自筆証書遺言からは、別紙として添付する場合に限り、「財産目録」の自書が不要になります。
代わりに、「財産目録」は<パソコンで作成した文書><不動産登記簿謄本のコピー><預貯金通帳のコピー>等でOK。また、<他人による代筆>もOKです。「財産目録」の全てのページに遺言者本人の署名・押印をすることで、書類の一体性を証明します。

 この方式緩和により、確かに高齢者や財産内容が複雑で多い方にとっては自筆証書遺言の作成が楽になります。しかし、一方で以下の理由から、益々トラブルの種になりはしないか?と今から相当心配されているのも事実です。

「財産目録」も含めた遺言一式を(例えばホッチキスなどで)綴じる義務がない
「財産目録」も含めた遺言一式に契印する義務がない
押印は実印である必要がなく、シャチハタ以外であればどんな印鑑でもOK
押印は全て同一印である必要がない


 したがって、相続発生後に見つかった(あるいは特定の相続人が提示してきた)自筆証書遺言本文及び別紙が本当に一体性を持った遺言書といえるのか否か、判断がとても難しくなる可能性があります。

「親父がこんな遺言を残すはずがない。兄貴が別紙を勝手に差し替えたのでは?」

「この財産目録、姉貴が勝手に書いたんじゃないのか?本当に親父の意思通りに代筆したとは思えない!」と相続人同士で疑心暗鬼。
更に、亡くなった人の「署名だけが入った白紙」でも見つかったら、もう目も当てられない状態に。

 「兄貴が親父を騙して白紙に署名だけさせて、後で別紙だけを自分にいいように代筆(またはパソコン打ち)するつもりだったんじゃないのか?」

「この別紙も、姉貴が勝手にパソコンで打ったやつに違いない!」

こうなってくると、混乱必至です。

今でも、自筆証書遺言はトラブルの元になりやすい遺言の方式として有名です。今回の緩和で、その傾向が益々強くなるのではないかと予想されています。

実際に誰かが騙そうとするから揉めるというよりも、そもそも自筆証書遺言には騙そうとしていなくてもそう疑ってしまう余地があるため、疑心暗鬼になって揉めてしまうのです。

 せっかく残される家族のためにと思って作成する遺言書なのに、それが元で家族が争うようになっては、本末転倒です。

ここはやはり、自筆ではなく公正証書遺言にする一手ではないでしょうか。
少しの手間と少しの費用、それを惜しんで自筆にしたばかりに家族がバラバラになってしまったのでは悲し過ぎます。よくよくお考えください。

当サポートセンターでは、公正証書遺言作成のご支援をしています。まずはお気軽にご相談ください。
お待ちしています。

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筆者紹介

江頭 寛
福岡相続サポートセンター
代表取締役社長

生前対策から相続発生後の申告・納税に至るまで、皆様から寄せられる無料相談への対応や、希望する幸せな相続の実現に向けての対策立案と実行支援を、弁護士・税理士・司法書士・不動産鑑定士等の先生方をコーディネートしながら日々やらせて頂いてます。お客様にとってベストな相続並びに資産の有効活用を徹底的にサポートすることが私の最大の使命です。また、相続対策セミナーも全国各地で積極的に開催中。まずはお気軽にご相談ください。

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