最近、ネットや経済紙で「米国不動産投資」について目にする機会が多くあります。
米国不動産の特性と日本の税制を上手く組み合わせて節税対策を行うというものです。
私自身はこの投資を肯定的に捉えていますが、もちろん「投資」ですから、メリットやリスクをしっかり把握する必要があります。
「米国不動産投資」が勧められている理由は次の2点です。
・財産ポートフォリオとしてドル資産を持つ
・スピード減価償却で所得税節税
確かに、円資産だけでなくドル資産を持つことは資産防衛の第一歩と言えるでしょう。
スピード償却について少し補足しますと、米国所在の不動産であっても所得税申告を日本で行うのであれば、日本の税制が適用されます。
米国では中古不動産マーケットが成熟していると言われ、築年数が古い物件でも当然のように市場で流通しています。築後25年の物件はまだまだ若手と呼ばれるでしょう。
具体例を挙げると、例えば築年数が25年で木造住宅の場合、減価償却年数の計算は22年(耐用年数)×0.2=4.4年、つまり4年間での減価償却となります。
また、不動産の土地と建物割合に着目すれば、日本では通常、土地:建物が8:2、一方、日本で不動産投資が推奨されているラスベガス(砂漠の摩天楼)やダラスでは、土地:建物が2:8となる物件もあります。
つまり、日本円で5,000万円(土地:建物=2:8)の不動産を購入した場合、
ラスベガスでは、土地=1,000万円、建物=4,000万円の割合となります。
この建物価格4,000万円を4年間で償却すれば年間1,000万円の償却費用を計上でき、課税所得を大きく減らすことができるというストーリーです。
一見すれば、大きな節税メリットがあり、ドル資産を増やすことができる理想の投資に見えるかもしれません。
それでは、リスクはなんでしょうか。
最も分かりやすいリスクは「為替変動リスク」でしょう。不動産購入資金はもちろん、毎月の家賃や経費の支払いは全てドルで行われますので、為替差益の可能性もあれば、為替差損になることもあります。あくまでも余剰資金での投資をおススメします。
次に「期間のリスク」です。
米国では人口が増え、経済成長しているとはいえ、例えばリーマンショックのような景気の浮き沈みは必ず起こります。上述した減価償却スキームでは、4年間減価償却のメリットをとり、6年目、長期譲渡のタイミングで売却することが一般的です。購入してから6年目の景気により売却価格が下がったり、流動性が悪くなったりしている可能性もあります。
最後のリスクは「税務リスク」です。減価償却や海外不動産投資に関する税制が改正されることで、所有期間中の節税メリットが享受できなくなる可能性もあります。
もちろん、米国という物理的な距離、英語という言語、異なる商習慣等々、色々なリスクも想定できます。
日本であれ米国であれ「不動産投資」ですからリスクは付き物です。
ではどのようにリスクを低減すればよいでしょうか。
・あくまでも余剰資金で投資をする
「米ドル」「米国不動産」として、いざとなったら短期で売却せず中長期的な保有を選択することで、中長期で市況や為替のいいタイミングで売却することが出来、為替リスクや期間リスクを軽減できます。
・不動産投資の「5P」を理解する
不動産投資には5つのPがあります。
Price(価格)、Place(立地)、Product(商品)、Promotion(販促)、Partner(パートナー)です。節税スキーム・ドル資産保有など、どのような目的であれ不動産投資をするのであれば、安定して賃借人が住み、売却時に売れる場所(米国では学校区や犯罪率に着目)、価格帯であることが重要です。
そして最後に、なんといってもパートナー選びは最も重要な要因です。米国不動産に精通した不動産会社、現地コンサルタント、税理士など、皆さまの資産を守り増やす、安心できるバートナーを見つけることが成功への近道と言えます。
ご興味のある方は、ぜひご相談ください!!