皆様、土地家屋調査士という国家資格をご存じでしょうか?土地家屋調査士とは、不動産の登記簿(登記記録)の「表題部」の新設、変更・更正、閉鎖等の代理申請を行う土地建物の表示登記の専門家です。
地図訂正は土地の境界線を日常的に取り扱う土地家屋調査士の業務で時折起こる事案です。
まず、地図訂正とは法務局に備え付けられている地図もしくは地図に準ずる図面(公図、字図)を正しく訂正することです。
地図訂正は明らかな錯誤を除いては、土地地積更正登記を申請すると同時に地図訂正申出を行うのが一般的です。
法務局備え付けの地図もしくは地図に準ずる図面(以前の投稿で違いについては記載しております)に現地との相違がある場合、売買、建築、融資などに支障をきたすことがあり、地図訂正を行わないといけない場合があります。
最近解決した事例を紹介します。
下左図の1番の土地に建物を建築しようと計画したところ、公図の赤丸の部分に線が描かれていないため、1番の土地がどこまであるかが分からず、融資が受けられないとのことでした。
また、近隣の皆様にお話しを聞くと3番と6番の方は前面の通路(青塗り部分)が市の土地なのか1番の土地なのかが、市役所に聞いても法務局に聞いても分からず、長年下水道も通せない、再建築も厳しい状態で大変困っているとのことでした。
そこで1番の土地の境界確定測量、通路(青塗り部分)の所有者・管理者確定を行った上で、地積更正登記、地図訂正申出を行いました。その結果、下右図の通り正常な公図となり、無事融資が受けることが出来て、建築することが出来るようになりました。
また、近隣の皆様も晴れて通路(青塗り部分)が市の土地と確定したことで今後、舗装や下水道のお願いなどが出来るようになったと大変喜ばれておりました。このように、たった数センチの公図上の線の為に大変な苦労を強いられる場合があります。
他の例としては、公図と現地の隣接関係が相違している場合(公図では接しているようになっているにも関わらず、現地では接していない等)や、地番がプラス表示の場合(例:1番の土地と2番の土地の間に線が無く、地図・公図上に1+2と記載されている。
このような場合は筆界未定地と呼ばれています。)や、公図と現地の形状が大きく違う場合など、地図訂正が必要な場合があります。
このような土地をお持ちで、近い将来相続財産の売却などをお考えであればお近くの土地家屋調査士に早めにご相談されることをお勧めします。