皆様、土地家屋調査士という国家資格をご存じでしょうか?土地家屋調査士とは、不動産の登記簿(登記記録)の「表題部」の新設、変更・更正、閉鎖等の代理申請を行う土地建物の表示登記の専門家です。
土地の境界線を日常的に取り扱う土地家屋調査士にとって、今回の題目はよく聞かれる質問です。この質問は一般的にはとても単純な感じがしますが、実は結構複雑なお話なのです。それぞれ隣同士の当事者二人が自分達の土地について話し合って決めることなので、変更が可能なようですが、そう単純でありません。
Q.兄弟で隣同士の土地を所有しています。境界の形状が曲がっていて使い勝手が悪いので長男の土地の一部を次男に譲ってあげて、境界を真っ直ぐすることで話しがつきましたが問題ないですか?
A.所有権界は話し合いだけで変更可能ですが、筆界を変えることはできません。一連の登記申請を行うことで、所有権界と筆界を一致させることが出来ます。
境界とは、専門的にいうと、大きく「筆界(ひっかい)」と「所有権界」の二通り意味があります。「筆界」とは、元々からの一筆の土地の登記されている境で、「所有権界」とは土地の所有権が及ぶ範囲の境です。
この案件は話し合いにより「所有権界」が変わり、(b)の部分が次男の土地になったので、分筆登記を行い(a)の部分と(b)の部分に土地を二筆にした後、さらに(b)の部分を、長男から次男への所有権移転登記行うことで、登記上も(a)の部分が長男の土地、(b)と(c)の部分が次男の土地となります。話し合いだけでは登記に反映されませんので、このような場合は注意が必要です。相続などで所有者が変わった数年後に土地を売却する際などに思わぬトラブルになってしまうことが時折見受けられます。
近い将来売却などをお考えであれば早めにお近くの土地家屋調査士にご相談されることをお勧めします。