今回は、司法書士ならではの分野である「権利証」と「登記識別情報」について、説明させて頂きます。
1.権利証と登記識別情報の違いと保管方法について
権利証とは、、和紙やコピー用紙に法務局のスタンプ(受付日と受付番号)が押されたもので、平成17年頃(管轄法務局により時期が異なります)まで発行されました。
権利証は、原本のみが有効であり、複製を作ることはできません。
登記識別情報とは、法務局所定の薄緑色等の登記識別情報通知用紙によって発行される12桁の数字とアルファベットの組み合わせ(パスワード)であり、用紙をコピーすることやメモを取ることで、複製を作ることができます。
つまり、権利証はそれ自体を大事に保管すればよいのですが、登記識別情報は他人に複製を作らせない(パスワード見せない)ようにしなければいけません。
登記識別情報通知書の発行の際は、パスワードに目隠しシールが貼られていますので、保管前に必ずシールが貼られた状態であることを確認のうえ、権利証と同様に大事に保管して頂くことになります。
2.紛失したとき
不動産の売却の際に、権利証を探しても見つからないケースは少なくありません。
権利証や登記識別情報の再発行はできませんが、司法書士に紛失の旨を伝えて頂ければ、所定の方法(本人確認情報作成・事前通知制度等)によって、登記手続きを問題なく行うことができます。
権利証や登記識別情報を紛失したから権利がなくなるということはありませんが、もし、盗難にあった可能性がある場合には、速やかに法務局へ不正登記防止の申し出を行い、登記識別情報については、パスワードの失効手続きをすることによって、権利証や登記識別情報を悪用した登記を防ぐことが重要です。
更に万全を期すためには、実印の改印と印鑑カードの交換をすることも有効です。
また、相続の登記手続きの際には、亡くなられた方の権利証や登記識別情報がなくても、相続登記手続きが完了しましたら、相続された方に新しい登記識別情報が交付されますので、あまり無理をして探さなくても大丈夫です。但し、遺言による遺贈の登記手続きには権利証や登記識別情報が必要となりますので、遺言書とセットで保管が必要です。
3.司法書士による本人確認情報作成について
前述の本人確認情報による登記申請とは、司法書士が売主(登記義務者)と面談し、本人確認書面の提示を受け、本人に間違いない旨の文書を作成し、登記を行う方法です。この手続きの司法書士の手数料は概ね数万円です。
本人確認書面は、1号、2号、3号と区分が法定されており、1号書面(運転免許証・運転経歴証明書・パスポート・住基ネットカード・個人番号カード等)については1点でよいため、売主(登記義務者)が不動産売買代金の決済時に1号書面を持参していれば、万一、権利証や登記識別情報を紛失している場合にも対処が可能です。
なお、2号書面(健康保険証・後期高齢者保険証・年金手帳・医療受給者証・公務員共済組合員証等)については、2点必要となります。