皆様、土地家屋調査士という国家資格をご存じでしょうか?土地家屋調査士とは、不動産の登記簿(登記記録)の「表題部」の新設、変更・更正、閉鎖等の代理申請を行う土地建物の表示登記の専門家です。
■Q■ 下の図の様に父は5番の土地を持っていますが、他人の土地である8番を通らないと、道路に出られない土地です。この土地を相続する予定ですが、問題ないのでしょうか。
■A■
5番の土地は所謂袋地の土地です。この場合8番は囲繞地(いにょうち)ということになります。このような状態になるのは様々理由があります。
例えば、兄弟や親戚関係であった両地の所有者の話し合いのみにより、無償で囲繞地を通行していたものが、相続や売買により所有者が変わり、当時の状況が誰も分からないまま、ただ慣習により通行しているといったような状況です。
このような場合、5番の所有者にとっても、8番の所有者にとっても将来的に不安が残る状態になっており問題があると思います。
特に5番の所有者にとっては、かなり切実な問題と言えます。「今は慣習で通っているものの、8番の所有者が変わって通行させないと言ってきたらどうしたらよいのか。将来に渡って通行権を正式に登記する方法はないのか。」と、質問を受けることがあります。
この場合1つの方法として「地役権」を登記することが有効と言えます。(8番の通行部分を分筆し、所有権や地上権を取得する方法もあります)
自分の土地の便益のために、他人の土地を利用できる権利のことを地役権といいます。
この地役権のうち、他人の土地を通行できる権利のことを通行地役権といいます。
契約により、通行地役権を取得すると、他人の土地(承役地=8番)を必要な部分に限り自由に通行することができます。
5番の土地(要役地=5番)を売却したとしても、新しい所有者は通路部分、8番(承役地)の通行地役権を継承できます。しかし、これらは単に契約を結んだ当事者間にだけ有効ですので、8番土地所有者が第三者に土地を売却した場合であっても同様に通行権を主張できるように、通行地役権の設定登記をしておく必要があります。 (地役権は土地の一部に設定することが出来ます)
実務では、地役権設定登記は土地家屋調査士と司法書士が協力して業務を行います。まずは、お近くの土地家屋調査士に相談されることをお勧め致します。