「一時払いの終身保険」は「生命保険の理念が入っていないただの貯蓄商品」であり「相続対策としてはおススメできない」
ということを伝えてきました。
※以前の記事はコチラ
そうしたところ、すでに銀行窓口などで「一時払いの終身保険」に加入してしまった方より、たくさんの反響がありました。
今回は、その際に多かった質問について、要点をまとめてお伝えしたいと思います。
【 一時払いの終身保険の特徴やメリットは? 】
・健康診査がない。もしくは病気をしたことがあっても入りやすい。
・高齢でも入れる。(90歳でも入れる保険会社もある)
・保険料(払う金額)と保険金(遺族がもらう金額)が同額のものが多い。
・何年後かに解約すると、一時払いした掛け金よりも増えて戻ってくるものが多い。
・「死亡保険金の非課税枠」の確保ができる。
【 一時払いの終身保険の何が悪いのですか? 】
はっきり言います。
一番悪いのは、加入する皆さんが、「一時払いの終身保険」を「貯蓄のため」なのか、「相続対策のため」なのかを明確に区別できていないことです。
貯蓄目的なら、定期預金よりは増え率が良いですが、インフレ対策にはなりません。
相続対策なら、もっと良い生命保険のかけ方や払い方がないのか検討すべきです。
どっちも兼ねているという中途半端な認識では、なにも対策していないのと同じです。
【 貯蓄目的なら良い商品なのか? 】
繰り返しますが、貯蓄目的なら、定期預金よりも増え率が良い商品です。
ただし、
・早期の解約は元本割れします。
・増え率は、生命保険会社や商品によってかなり差があります。
・確定商品ですので、インフレに対抗する力は持っていません。
・相続税のかかる方にとっては、いたずらに資金を固定化することになります。
暦年贈与や不動産の購入など、相続税を下げる対策に資金を投入すべきです。
銀行の窓口では、手数料欲しさに、この「一時払いの終身保険」の勧誘が常態化しているようです。
「一時払いの終身保険」が、あなたの資産運用として最適なのかどうかを、よくよく考えてから契約をするようにしてください。
【 なぜ相続対策として問題があるのか? 】
「一時払いの終身保険」も生命保険なので、きちんと「死亡保険金の非課税枠」の確保にはなります。相続対策にならないわけではありません。
問題は、「一時払いの終身保険」は、生命保険の最大のメリットである「払込期間中に契約者が死亡した場合は、保険料の支払いは終了する」ということを、最初から放棄していることです。
よって、下記のようなケースを除いては、使うべきではありません。
例)「一時払いの終身保険」を使わざるを得ないケース
→ 相続税がかかる人が、ご高齢(めやす:80歳以上)の場合
→ 相続税がかかる人が、健康上の理由で、通常の生命保険に加入できない場合
このようなケースのときのみ、通常は加入できない方が加入できるという意味で、「一時払いの終身保険」はとても貴重な節税手段となります。
【 まず「有期払い」が可能かを検討する 】
例えば健康な65歳の女性であれば、1000万円の死亡保険なら、10年払いの契約で、1年当たりの掛け金は約89万円です。(福岡相続サポートセンターが推奨する保険会社による試算)
よって10年間払ったとしても、最高で保険会社に払う掛け金は 約890万円
かつ、生命保険は、1度でも掛け金を支払っていれば、万が一の際に保険金1000万円を家族は受け取ることができます。
このようなケースであれば、1000万円の死亡保険に、同額の1000万円を一時払いする必要はまったくありません。
しかし、銀行の窓口で「保険金と保険料(掛け金)が同額の保険」に加入してしまった50~60代の方を、私はこれまでたくさん見てきました。
相続対策に生命保険を利用するのであれば、まず「有期払い」ができないか検討をしてください。
「一時払いの終身保険」は、ご高齢もしくはご体況が悪い場合の最終手段なのです。
【 「貯蓄」と「相続対策」をごちゃ混ぜにしない】
そもそも「貯蓄」とは自分のためにするものです。対して「相続対策」は遺された家族のために行うものです。
最初から相反していますので「二つを兼ねる」などという説明が、そもそもおかしいのです。
しかし、「相続」や「相続税」の知識を持っている人は少ないため、ほとんどのケースで「貯蓄」の説明だけが行われ、最後に「相続対策にもなります」という一言が根拠もなく付け加えられているというのが現状のようです。
ざっくりとしためやすで言いますと、65歳くらいまでの若くて健康な方が、「一時払いの終身保険」を選ぶこと自体、貯蓄としても相続対策としても問題があると思います。
もう一度、自分の加入した生命保険を見直してみてください。
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