不動産の売買契約や賃貸借契約などの様々な契約に際して、法人が契約の当事者になる場合の法律上の注意点につき説明させていただきます。
法人には、株式会社、宗教法人、認可地縁団体(町内会)など様々な形態があります。
これらの法人は、それぞれ異なる法律に従い手続きをすることにより成立が認められ、その後も各法律で定められた範囲内で権利能力の主体として活動することができます。
冒頭に挙げた不動産の売買契約について言えば、株式会社が当事者となる場合は、会社法に規定されている利益相反行為や重要財産の処分に伴う取締役会(または株主総会)の承認決議などに注意すれば、株式会社は営利活動を目的とする法人であるため、自然人と同じく有効に契約締結できることに疑いはないでしょう。
これに対し、宗教法人や認可地縁団体(町内会)の場合は、宗教法人法や地方自治法に規定されている決議、公告、届出、認可などの所定の手続きが必要になることがあるほか、そもそも当該売買自体が法人の目的を達成するために必要なものであるかなどの懸案事項が多いので注意が必要です。
また、認可地縁団体(町内会)について言えば、一昔前までは法人格を取得することができなかったために、法人格のない町内会(法務局に行っても登記事項証明書が出ない)と法人格のある町内会が混在しています。
安全な契約のためには、このような法人格の有無や代表権限などを法務局発行の登記事項証明書(オンラインでの閲覧も可)で確認するとともに、根拠法や法人規則などにも留意して頂くことをお勧めいたします。